2011年4月13日水曜日

ISO26000はサスティナブルのガイドブック

ISO26000とは(上)

 ISO26000は2010年11月に正式発行されたISO国際規格の一つで、「社会的責任に関する手引」(Guidance on social responsibility)と言われます。2004年にISO技術評議会で規格化が決定されてから、6年間という時間をかけて規格化されました。この規格の大きな特徴は、ISO9000シリーズやISO14000シリーズにあるような、「要求事項」がないということと、多くの発展途上国を含む90カ国以上の国と40以上の機関からそれぞれ政府、産業界、労働団体、消費者団体、NGOや、有識者といったマルチステークホルダーが参加して策定されたことにあります。

 ISO26000が要求事項を含まないガイダンス文書であるということは、第三者による認証を目的としたものでもなければ、ISO26000に適合しているという自己適合宣言を目的としたものでもないということです。それぞれの組織によってその実情にあわせて柔軟に取り組むことが重要で、その点が第三者が基準への適合を審査して認証するという認証規格とは大きく異なっています。

 第三者による認証ばかりではなく、組織が自らISO26000への適合をチェックして、自らその適合を宣言することもできません。それは、ISO26000に記載されている事項は推奨事項であって、規格による「要求」事項ではないために、最初から要求されていない事項についてはたとえ自己であってもその適合性を評価することができないために、自己適合の宣言をすることもできないのです。

  なぜ、このような構造をしているかというと、持続可能な発展を実現するための取り組みがまだまだ発展途上であって、これからも多くの課題やグッドプラクティスの蓄積によって社会的責任がある一点で留まることなくこれからも進んでいくということを意味しているからなのです。