2011年4月12日火曜日

他人ごとではありません

 東京電力は以前からCSRの優等生で、特に環境分野においては「東京電力自然学校」を開催したり、火力発電所構内にビオトープを作ったりするなど様々な取り組みを行っていました。東京電力が、それらの取り組みを決して不都合な事実を隠したり、ごまかしたりするつもりでやってきたわけではないことは私もよく知っています。

 しかし、一方ではこれまでも原子力発電所のトラブルを隠蔽するなどの事件も起こしてきたのも事実で、トップ以下社員の日常業務の中で常に発生しているいろいろなリスクに対する感覚が「このくらいは大丈夫だろう」というものであったということも容易に想像がつきますし、事業に関してもセクションごとに縦割り構造になっていて社内の風通しも悪いという部分もあったのではないかと思います。それが、CSRの一部分だけは優等生ということになってしまっていたのではないかと思います。
 
 今回の事故は、決して他人事ではないように思えてなりません。CSRを社会貢献の一環として捉えてしまい、日常の事業の中に浸透させていないという企業は少なくありません。CSRは社会貢献だけではなく、Social Responsibility「社会的責任」であるということをしっかり考える必要があります。CSRをそのように捉えることで、社会の中で企業が果たしていく役割が何なのか、はっきり見えてくるのではないかと思います。