テンカラ釣りに出会って初めて自分で巻いて見た毛鉤。
寝ても覚めても毛鉤が頭から離れない、とうとう毛鉤セットを会社にまで持って行き、時間があればそっと巻いていたな。
本で見た伝承毛鉤はこんなものだったけれど、実際釣り場で試したが、渓魚は見事に見向きもしなかった。
これで、僕の毛鉤作りに火が付いた。
管理釣り場の鱒達に見向きもされないと言うことは、過酷な自然の中で生きる渓魚は絶対呼べない。
赤い胴が良いと聞き、即赤糸で胴を巻いたがこれも今いちだった
尻に金糸を巻き細糸で胴を巻いて見たが少々の進歩だけだった。
A四型の毛鉤箱を幾つ作ったことだろう。
初期の段階では、これで結構傑作だと自分では思っていた時季もあった
けれど、人の目と渓魚の目の違いを目の当たりにして、あの渓流の岩に腰を落とし、思わず渓魚にこれは蜉蝣に見えないかと聞いていた時もあったな。
そして、何時かは渓魚が武者振り付くような毛鉤が出来ると、自分を振るい立たせ、ひたすら毛鉤を巻いた。
バス釣りに使うラバージグのゴムを細く引き裂いて胴に巻いたところ、管理釣り場で突然爆釣、そしてあの銀山湖でも岩魚が応えてくれた。