2011年4月18日月曜日

中小企業緊急雇用安定助成金のご案内(社会保険労務士富田保宏)

  東北地方大震災に被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 社会経済情勢が悪化し、従業員に休業を余儀なくされた場合、以前から雇用調整助成金がありました。今回ご紹介する中小企業緊急雇用安定助成金は、平成20年12月に雇用調整助成金を中小企業に使いやすくするために新設したものです。新設当時はリーマンショックの影響による経済悪化に焦点を絞っていましたが、新型インフルエンザや口蹄疫被害、霧島山(新燃岳)噴火による被害、そして現在最も大きな問題である大震災による対応など多岐に渡った災害を原因とするものへと変遷し現在に至っています。

 今回の災害である東北地方大震災の影響により事業活動の縮小を余技なくされた事業主が、従業員の雇用を維持するために休業等を実施した場合にも助成対象となります。
 具体的には、「交通手段の途絶による出勤ができない。」「原材料の入手や製品の搬出ができない。」「事業と、設備等が損壊し、修理業者の手配や部品の調達が困難なため早期の修復ができない」等が助成対象となります。

 中小企業緊急雇用安定助成金には、休業した場合の助成の他、休業中に教育訓練させた場合の上積み加算や、他の事業所へ出向させた場合に助成するものがあります。
以下、受給のための要件と助成額について説明します。

【主な受給の要件】
(1)雇用保険の適用事業主であること

(2)下記のいずれかの生産量要件を満たす事業主
①売上高又は生産量の最近3か月間の月平均値がその直前3か月又は前年同期に比べ5%減少していること(ただし直近の決算等の経常損益が赤字であれば5%未満の減少でも可)。
②円高の影響により生産量、売上高の回復が遅れている事業主であり、生産量等の最近3か月間の月平均値が3年前同期に比べ15%以上減少していることに加え、直近の決算等の経常損益が赤字であること(ただし、対象期間の初日が平成22年12月2日から平成23年12月1日までの間にあるものに限ります。)
(3)休業等を実施する場合は、従業員の全一日の休業または事業所全員一斉の短時間休業を行うこと
(4)出向を実施する場合は、3ヶ月以上1年以内の出向を行うこと



今回の東北地方大震災の特例措置として、

① 青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉、新潟、長野の9県の災害救助法適用地域に所在する事業所の場合、

② ①の災害救助法適用地域にある事業所等と一定規模以上(総事業量等に占める割合が3分の1以上)の経済的関係を有する事業所の場合

③ 計画停電の実施地域に所在し、計画停電により事業活動が縮小した事業所の場合
以上の場合は、最近3ヶ月ではなく1ヶ月の生産量、売上高がその直前の1ヶ月又は前年同期と比べ5%以上減少していれば対象となります(平成23年6月16日までの間は、震災後1ヶ月の生産量や売上高が減少する見込みでも対象)。

 また、①の場合、本来は計画書届の事後提出が認められます(平成23年6月16日まで)。

【受給額】

(1)休業の場合
休業手当相当額の4/5(上限あり)
支給限度日数:3年間で300日(休業及び教育訓練)

(2)教育訓練を実施した場合
賃金相当額の4/5(上限あり)上記(1)の金額に
事業所内訓練の場合1人1日3,000円を加算
     事業所外訓練の場合1人1日6,000円を加算

(3)出向の場合
出向元で負担した賃金の4/5(上限あり)



最後に注意すべきこととして2点掲げます。

 1点目は、社会経済状況や震災などの状況により刻々と要件や受給額が改定されていますので、申請をお考えの事業主様は申請時点での要件等を再確認することが必要です。

 2点目として、休業として計画している日には出勤することはできません(この場合には事前に計画変更の届け出が必要です)。出勤すると不正受給と扱われてしまいますので要注意です。
 助成金の財源は、事業主負担分としての雇用保険料(雇用保険二事業)です。申請できる場合にはぜひ助成金を活用して戴きたいものです。
-------------------------------------------------------------------------------