2011年4月20日水曜日

荒井さんのテンカラ釣りとの出会い その2~テンカラ毛鉤の遍歴(後編)

 飛騨の渓流に行った時、脱皮した青大将(蛇)の抜け殻を見つけた。
   岩魚は蛇も一飲みにすると言う話を聞いたことがある、それなら蛇皮で巻いて見ようと思い付き、出来たのがこの奇妙な毛鉤。
 遊び心のつもりだったけれど、試して見たらこれが結構いけた。
 それで、岩魚が蛇さえも喰ってしまうことを確信した。

 但し、これも「こごみ」と同じで二、三匹掛かると胴が無くなってしまうので、管理釣り場では向かないが、一日一匹の渓流でなら十分である。
  これの悪いところは、このままでは皮がばらけて巻けないので少々の加工をしなくてはならないことと、現物が中々確保出来ないことだ。


 数年前にとうとう完成したオールラウンドの毛鉤。
 これは、地元の渓流でも銀山湖でも、飛騨の渓流で実証済み。
 鱒の燻製作りをする厳冬の季節、鱒の活性の落ちる管理釣り場でも数時間で七〇匹を釣り上げることが出来る。

 これが出来てからの燻製作りは苦ではなくなった。
 こんなにも単純な作りであるが、胴に巻いた物に秘密がある。    
 ここに行き着くのに二〇年もの時を要したことに感慨深いものがある。
 これこそ、荒井流「伝承毛鉤」。    
  一子相伝とするが、誰に伝えようか楽しみだ。

  この毛鉤は、遊び心で作ったもので、胴には津久井の組紐を使っている。
 これでも結構渓魚が釣れる。
 カラフルなので飾り物にいいかなと思っているが、やはり使って何値(なんぼ)かな。
 毛鉤箱も渓流で使い易い大きさに作ってあるが、これは「柿渋」で塗装を施してある。
 他にオイルステインを塗り込んだものなど幾つか作ってある。

 この大きさの毛鉤箱も沢山作ったけれど気に入ってくれた人に贈呈してしまうので、家には幾つも 残っていない。
 時が出来たら又作ろう。


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