正月が近づくと百貨店の福袋の話題がニュースでよく取り上げられます。
福袋は、福の神である大黒様が担いでいる袋に由来しているそうで、百貨店の
大丸が江戸時代に「初売り」と称して販売していた記録があるそうです。
一般的に、福袋という販売形態の特徴として<客からは商品の内容が不明であ
ること>があげられますが、<あらかじめ商品の概要が公表されている>、<中
身を購入前に確認できる>、<袋が透明>、などといった方法も一部にあるよう
です。
もうひとつ大事な特徴は、<袋の中の商品の価値が販売価格を上回っている>と
いう点です。
つまり、客がどの福袋を購入しても損はしない、という前提が重要で、もし商品
の価値が販売価格以下になってしまうと賭博行為に該当する恐れがあります。
賭博とは、<偶然の結果によって財物の得喪をやりとりする行為>のことですが、
福袋の販売に際して、運が悪い客は損をし、運が良い客は得をするという状況では
賭博行為になってしまいます。
この場合の「損をし、得をする」の意味は、一般的な商品価格で比較した場合の
ことであって、福袋を購入した客の主観による判断ではありません。
例えば、タバコを吸えない人が買った福袋の中にたまたま高級なタバコが含まれて
いて、「タバコなんかいらないから損をした」と購入者が感じたとしても、そのこと
によって賭博行為に近づくわけではありません。
仮に賭博行為になったとしても、賭博行為が全て違法であるというわけではなく、
「一時の娯楽に供する物」だけで賭博を行った場合には賭博罪は成立しないことに
なっています。
日常的に消費される食べ物や飲み物などで賭博を行っても違法ではないのです。
このほか、福袋の提供方法にいろいろ工夫をこらす場合も見受けられますが、その方
法次第では景品表示法などの法令の規制を受ける場合もありえます。
福袋という言葉のイメージを利用しているうちに、ついつい違法な営業になってしま
わないようご注意いただきたいと思います。
(参考)公正取引委員会:景品表示法関係 法令・ガイドライン等
http://www.jftc.go.jp/keihyo/index.html