ニュースの報道などを見ていると、中国からの撤退という言葉がブームになってい
るようです。実際に、「中国撤退に関するセミナー」なども多くの来場者があるようで、
社会の大きな関心をうかがうことができます。私どもでも、実際に中国から撤退を検
討している企業からのご相談を受けたこともありますし、今後もご相談を受けること
がありそうです。
しかし、先日ジェトロ(日本貿易振興機構)の方とお話した際に興味深かったのは、
中国進出企業の多くは、今後も中国事業を拡大していく方針で、現時点で撤退するこ
とを考えている企業はさほど多くないという点でした。
撤退を考えている企業の多くは、日系メーカーの下請けとして中国に渡った企業が
多いのかもしれません。私どもでご相談を受けたのも、そういった会社さんでした。
近年、地場の部品メーカーも技術力が向上していて、価格的にも攻勢をかけていま
す。そういった中で、日系の中でやってきた企業には完成品メーカーのグローバル調
達に耐え切れないところが出てきているのかもしれません。
中国撤退というと、昨秋の尖閣デモやその後の反日政策などがクローズアップされ
るのですが、本当の問題はそこではなく、地場の企業との熾烈な競争にあるように思
います。そうだとすると、「日系」企業が中国で活躍する場はまだまだありそうです。
(今村 正典)