今日は出張で、13年ぶりに函館に来ています。
北海道の南西に突き出た渡島半島(おしまはんとう)は、
本土に噛みつこうと口を開けているような形です。
そこに一本飛び出た奥歯のような亀田半島が函館の
地勢の特色を形成しています。


果たし、函館らしさを育てて来ました。
その函館には、いろいろな顔があるようです。
本土と北海道との連絡拠点として発展し、古くは本土と
蝦夷地との交易拠点として、江戸期には松前奉行がおかれて、
北前船を介する物流拠点として繁栄しました。
幕末には開港場として西洋文化を吸収する窓口となり、
榎本武揚率いる幕軍に占拠されてから函館戦争が終わる
まで、蝦夷共和国の首都とされました。
20世紀になると、北海道の防衛と津軽海峡監視の目的で
函館山に津軽要塞がおかれ、重要な軍事拠点としての役割
を担い、函館山は終戦の年まで入山禁止となっていました。
北洋漁業と水産業の一大拠点でもあり、風光明美な観光
名所としても高い人気があり、北島三郎さんなど芸能関係者
と縁のある街としても知られています。
バブル崩壊後は産業の衰退が著しいようで、私が以前訪れ
た頃よりも元気が無くなっているような印象ですが、これほど
たくさんの特色を併せ持った街も、ちょっと珍しいと思います。
町全体に歴史の風雪をしのばせる気品が感じられます。
風はおだやかで、そよぐ風もすがすがしく、静かで心落ち
着く街です。
考えれば考えるほど、奥深いところだなあと思うのでした。
(日野 孝次朗)