2012年11月2日金曜日

ご冗談でしょうファインマンさん(のぞみ総研2012.5.2コラムより)

「ご冗談でしょうファインマンさん」という変なタイトルの本ですが、
まだ学生だった頃、友人のアパートでこの本を見た覚えがありました。
その時には、特に興味をそそられることもなく、すっかり忘却の彼方に
あったのですが、先日ふと気になって文庫となったこの「ご冗談でしょう
ファインマンさん」を読んでみました。

 著者であるリチャード・P・ファインマンは、理論物理学者として量子
電磁力学の発展に貢献したとして、日本の朝永振一郎、アメリカのジュリ
アン・S・シュウィンガーとともに1965年ノーベル物理学賞を共同受賞
した人物です。

 量子電磁力学は、半導体技術に応用されるなど現代の工業技術に欠かせ
ない理論となっています・・・。といっても、理論物理という学問は、文系
の私にはさっぱりわからない分野で、学生の頃にあまり興味を感じなかった
のも、それが原因なのかもしれません。

 ですが、今になって読んでみると、ビジネス書なんかを読んでいるより
非常に面白い内容で、移動時間などを使ってあっという間に上下巻とも読
んでしまいました。
人生後半に差し掛かろうかという今ではなくて、学生の頃に読んでおけば
よかったと少し後悔しています。

 ロスアラモスで若手の科学者として原爆の研究をしている当時の話は、
日本人としてはとても複雑な気持ちになりましたが、全体としては彼がと
ても好奇心に満ちていて、本当の姿を知りたがることが好きな人物だった
ことが描かれています。

 知識を「覚える」のではなく、目の前にあるあらゆることを、自分の知識で
「考える」作業をすることが大切であることを改めて教えられました。


(今村 正典)