2012年10月18日木曜日

CSRでもガラパゴス化する日本(のぞみ総研メルマガ2012.4.18より)

 「社会的責任」に関する国際的な規格として活用されつつある
「ISO26000」ですが、これが工業標準化法によって法的に
根拠のある日本工業規格として先月21日に「JIS Z 26000」
として制定されました。
 先日、日本規格協会が開催する規格説明会が行われたので、参加し
てきました。

 JIS化されたからといって、第三者認証を目的としない「ガイダ
ンス規格」であるという基本的なスタンスは「ISO26000」
と変わりませんので、これまで通り規格が定める中核課題について、
それぞれができる範囲で取り組んでいけばよいということになります。

 説明会の最後に、質疑応答の時間がありました。参加している大企
業の方々にとって気になるのは、「第三者認証」が今後制度として規
格の中に盛り込まれていくことになるかどうかという点のようでした
が、現在のところ日本では予定されていません。また、ISO26000
ではどうして「人権」が大きく取り上げられているのかという質問が多
くありました。

 実は、日本ではCSRの分野でも「ガラパゴス化」していて、世界の
CSRにおける大きな関心が差別や弱者、人権の危機といった「人権」
であるのに対して、日本では圧倒的に「環境」となっていて、人権に
対する関心は極めて低くなっています。

 これまでのCSRのあり方が、技術だけで対応できる「環境」とい
う側面ばかりを追いかけてきた結果のように思います。

 世界の関心と乖離が生じているものをそのまま放置すると、今後の
原料調達や、生産、販売という直接本業に結びつく部分で、大きな障
害となっていくように思えてなりません。

 ISO26000の概念を4分ほどにまとめた動画がYOU TUBEに
ありますので、ぜひ、一度ご覧になってみてください。

 http://www.youtube.com/watch?v=IJUm3JqF-Ro&feature=relmfu
「日本語」を選択すると日本語字幕がつきます。

(今村 正典)