2012年10月11日木曜日

ネット端末利用の法規制の行方(のぞみ総研メルマガ2012.4.11より)

「ネットカフェ 本人確認の義務 法制化求め提言」
というニュースがありました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120330-00000109-san-soci

ネット端末の利用提供規制は今後大きな話題になるかもしれません。
規制といっても、「やるな」という趣旨ではなく、「やるならこういう
ことをやりながらやってくれ」という意味での規制です。
単にネットカフェ業界だけの問題ではなく、ネット端末を不特定多数に
利用させている全ての事業者が規制を受けることになるかもしれません。

というのは、この法規制が「産業の発展」や「青少年の健全育成」を
目的としているのでなく、犯罪の抑止を目的としているので、「ほどほど」
とか「まあまあ」といった程度の効果では済まされないという点が重要です。
ネット利用者のうちのほんの一部に過ぎない犯罪者を追跡するための法規制
なのですから、規制の隙間を作ってしまうと規制の意味がなくなってしまい
ます。
悪い人たちは規制の抜け穴を見つけるのが上手なのですから。

そういう意味では、かなり徹底された法令遵守の実現が必要となる規制で
あって、「たかが本人確認」と言った程度のインパクトではないかもしれ
ません。
もし警察の捜査の過程で事業者の不手際、たとえば本人確認や設備状況に
不備があったなどの事態が発生した場合、犯罪被害と言う実害がすでに発生
している状態ですから、警察も「大目に見てあげる」と言うわけにはゆかず、
とりあえず「行政処分だ」という展開になりやすいと想像します。

つまり、この規制は生半可な規制ではないかもしれません。
というか、もし規制をかけるなら、生半可であっては市民にとって迷惑な
だけです。
徹底してやってもらわないと、まじめな事業者や利用者に負担をかけただ
けで、ネット犯罪は一向に減らないと言う最悪の事態が予想されます。

一方で、ネット端末を提供する事業者には、情報の保存だけでなく、情報の
漏洩や不正使用を防止するための環境整備も課題となります。
利用者にしてみれば、信用のおけないネットカフェに対して個人情報を提供
したくありませんせんから、信用できるネットカフェを選択するであろう
と思います。

必然的に、セキュリティ体制や従業員への指導徹底、ひいては経営方針や
企業風土も問われることになるでしょう。
コストはかかりますが、ひとつの業界が発展し、環境が整備されてゆく
過程では避けて通れない道です。
やがては質の低い事業者は淘汰されることになるのかもしれません。

(日野 考次朗)