これまでなら公衆送信権侵害になっていたところ、美術品の販売のために必要な一定の限度で美術品等の複製及び公衆送信が合法となりました。
他人が著作権を保有する絵画や写真等を販売する商売においては重要と思われます。
たとえば私が有名な画家の絵をもっていたとします。
その著作権は、もともとは画家さんにあったはずで、その後著作権が譲渡されていない限りは著作権はその画家さんが保有していることになります。
しかし絵画の原画を譲り受けたとすると、これは絵画の所有権(著作権ではなく)を私が保有しているということになります。
その私が、その絵を売却したいと思ったとして、インターネットで「買い手を募集しています」と広告を載せたとしても、その絵の画像データを掲載することは公衆送信権侵害になるのでできなかったというわけです。
さて、ここで重要になるのがその「一定の方法」です。
これについては文科省の政令と省令に定められました。(まだ「法令データ提供システム」では見れません。)
◎インターネットで掲載したい場合
著作物の表示の大きさ又は精度が次に掲げる基準のいずれかに適合しなければなりません。
①デジタル方式により法第四十七条の二に規定する公衆送信を行う場合において、当該公衆送信により送信される著作物に係る影像を構成する画素数が三万二千四百以下であること。
②前号(前記①のこと)に掲げる基準のほか、法第四十七条の二に規定する公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が、同条に規定する譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること。
※画素数を32400以下にしたデジタルデータであれば掲載できるという意味でしょう。
◎複製の場合
複製物に係る著作物の表示の大きさ又は精度が次に掲げるいずれかの基準に適合しなければなりません。
①図画として法第四十七条の二に規定する複製を行う場合において、当該複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさが五十平方センチメートル以下であること。
②デジタル方式により法第四十七条の二に規定する複製を行う場合において、当該複製により複製される著作物に係る影像を構成する画素数が三万二千四百以下であること。
③前二号(前記①と②)に掲げる基準のほか、法第四十七条の二に規定する複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさ又は精度が、同条に規定する譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること。
但し、<複製を電磁的方法により防止する手段であつて、著作物の複製に際しこれに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物とともに送信する方式によるものを用い、かつ、当該公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が文部科学省令で定めるイに規定する基準より緩やかな基準に適合するものとなるようにすること。>に該当する場合には別途基準が定められています。
以上の内容ではちょっと(いや、かなり・・・)わかりにくいと思います。
余裕ができたらもう少し見やすい表現を作ろうと思います。
◎以下関係法令抜粋
法第四十七条の二
美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物の所有者その他のこれらの譲渡又は貸与の権原を有する者が、第二十六条の二第一項又は第二十六条の三に規定する権利を害することなく、その原作品又は複製物を譲渡し、又は貸与しようとする場合には、当該権原を有する者又はその委託を受けた者は、その申出の用に供するため、これらの著作物について、複製又は公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)(当該複製により作成される複製物を用いて行うこれらの著作物の複製又は当該公衆送信を受信して行うこれらの著作物の複製を防止し、又は抑止するための措置その他の著作権者の利益を不当に害しないための措置として政令で定める措置を講じて行うものに限る。)を行うことができる。
政令7条の2
一 法第四十七条の二に規定する複製当該複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさ又は精度が文部科学省令で定める基準に適合するものとなるようにすること。
二 法第四十七条の二に規定する公衆送信次のいずれかの措置
イ 当該公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が文部科学省令で定める基準に適合するものとなるようにすること。
ロ 当該公衆送信を受信して行う著作物の複製(法第四十七条の八の規定により行うことができるものを除く。)を電磁的方法(法第二条第一項第二十号に規定する電磁的方法をいう。)により防止する手段であつて、著作物の複製に際しこれに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物とともに送信する方式によるものを用い、かつ、当該公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が文部科学省令で定めるイに規定する基準より緩やかな基準に適合するものとなるようにすること。
2 法第八十六条第一項において準用する法第四十七条の二の政令で定める措置は、同条に規定する複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさが文部科学省令で定める基準に適合するものとなるようにすることとする。
省令4条の2
令第七条の二第一項第一号の文部科学省令で定める基準は、次に掲げるもののいずれかとする。
一 図画として法第四十七条の二に規定する複製を行う場合において、当該複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさが五十平方センチメートル以下であること。
二 デジタル方式により法第四十七条の二に規定する複製を行う場合において、当該複製により複製される著作物に係る影像を構成する画素数が三万二千四百以下であること。
三 前二号に掲げる基準のほか、法第四十七条の二に規定する複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさ又は精度が、同条に規定する譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること。
2 令第七条の二第一項第二号イの文部科学省令で定める基準は、次に掲げるもののいずれかとする。
一 デジタル方式により法第四十七条の二に規定する公衆送信を行う場合において、当該公衆送信により送信される著作物に係る影像を構成する画素数が三万二千四百以下であること。
二 前号に掲げる基準のほか、法第四十七条の二に規定する公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が、同条に規定する譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること。
3 令第七条の二第一項第二号ロの文部科学省令で定める基準は、次に掲げるもののいずれかとする。
一 デジタル方式により法第四十七条の二に規定する公衆送信を行う場合において、当該公衆送信により送信される著作物に係る影像を構成する画素数が九万以下であること。
二 前号に掲げる基準のほか、法第四十七条の二に規定する公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が、同条に規定する譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要と認められる限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致すると認められるものであること。
4 第一項(第二号を除く。)の規定は、令第七条の二第二項の文部科学省令で定める基準について準用する。
他人が著作権を保有する絵画や写真等を販売する商売においては重要と思われます。
たとえば私が有名な画家の絵をもっていたとします。
その著作権は、もともとは画家さんにあったはずで、その後著作権が譲渡されていない限りは著作権はその画家さんが保有していることになります。
しかし絵画の原画を譲り受けたとすると、これは絵画の所有権(著作権ではなく)を私が保有しているということになります。
その私が、その絵を売却したいと思ったとして、インターネットで「買い手を募集しています」と広告を載せたとしても、その絵の画像データを掲載することは公衆送信権侵害になるのでできなかったというわけです。
さて、ここで重要になるのがその「一定の方法」です。
これについては文科省の政令と省令に定められました。(まだ「法令データ提供システム」では見れません。)
◎インターネットで掲載したい場合
著作物の表示の大きさ又は精度が次に掲げる基準のいずれかに適合しなければなりません。
①デジタル方式により法第四十七条の二に規定する公衆送信を行う場合において、当該公衆送信により送信される著作物に係る影像を構成する画素数が三万二千四百以下であること。
②前号(前記①のこと)に掲げる基準のほか、法第四十七条の二に規定する公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が、同条に規定する譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること。
※画素数を32400以下にしたデジタルデータであれば掲載できるという意味でしょう。
◎複製の場合
複製物に係る著作物の表示の大きさ又は精度が次に掲げるいずれかの基準に適合しなければなりません。
①図画として法第四十七条の二に規定する複製を行う場合において、当該複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさが五十平方センチメートル以下であること。
②デジタル方式により法第四十七条の二に規定する複製を行う場合において、当該複製により複製される著作物に係る影像を構成する画素数が三万二千四百以下であること。
③前二号(前記①と②)に掲げる基準のほか、法第四十七条の二に規定する複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさ又は精度が、同条に規定する譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること。
但し、<複製を電磁的方法により防止する手段であつて、著作物の複製に際しこれに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物とともに送信する方式によるものを用い、かつ、当該公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が文部科学省令で定めるイに規定する基準より緩やかな基準に適合するものとなるようにすること。>に該当する場合には別途基準が定められています。
以上の内容ではちょっと(いや、かなり・・・)わかりにくいと思います。
余裕ができたらもう少し見やすい表現を作ろうと思います。
◎以下関係法令抜粋
法第四十七条の二
美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物の所有者その他のこれらの譲渡又は貸与の権原を有する者が、第二十六条の二第一項又は第二十六条の三に規定する権利を害することなく、その原作品又は複製物を譲渡し、又は貸与しようとする場合には、当該権原を有する者又はその委託を受けた者は、その申出の用に供するため、これらの著作物について、複製又は公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)(当該複製により作成される複製物を用いて行うこれらの著作物の複製又は当該公衆送信を受信して行うこれらの著作物の複製を防止し、又は抑止するための措置その他の著作権者の利益を不当に害しないための措置として政令で定める措置を講じて行うものに限る。)を行うことができる。
政令7条の2
一 法第四十七条の二に規定する複製当該複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさ又は精度が文部科学省令で定める基準に適合するものとなるようにすること。
二 法第四十七条の二に規定する公衆送信次のいずれかの措置
イ 当該公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が文部科学省令で定める基準に適合するものとなるようにすること。
ロ 当該公衆送信を受信して行う著作物の複製(法第四十七条の八の規定により行うことができるものを除く。)を電磁的方法(法第二条第一項第二十号に規定する電磁的方法をいう。)により防止する手段であつて、著作物の複製に際しこれに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物とともに送信する方式によるものを用い、かつ、当該公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が文部科学省令で定めるイに規定する基準より緩やかな基準に適合するものとなるようにすること。
2 法第八十六条第一項において準用する法第四十七条の二の政令で定める措置は、同条に規定する複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさが文部科学省令で定める基準に適合するものとなるようにすることとする。
省令4条の2
令第七条の二第一項第一号の文部科学省令で定める基準は、次に掲げるもののいずれかとする。
一 図画として法第四十七条の二に規定する複製を行う場合において、当該複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさが五十平方センチメートル以下であること。
二 デジタル方式により法第四十七条の二に規定する複製を行う場合において、当該複製により複製される著作物に係る影像を構成する画素数が三万二千四百以下であること。
三 前二号に掲げる基準のほか、法第四十七条の二に規定する複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさ又は精度が、同条に規定する譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること。
2 令第七条の二第一項第二号イの文部科学省令で定める基準は、次に掲げるもののいずれかとする。
一 デジタル方式により法第四十七条の二に規定する公衆送信を行う場合において、当該公衆送信により送信される著作物に係る影像を構成する画素数が三万二千四百以下であること。
二 前号に掲げる基準のほか、法第四十七条の二に規定する公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が、同条に規定する譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること。
3 令第七条の二第一項第二号ロの文部科学省令で定める基準は、次に掲げるもののいずれかとする。
一 デジタル方式により法第四十七条の二に規定する公衆送信を行う場合において、当該公衆送信により送信される著作物に係る影像を構成する画素数が九万以下であること。
二 前号に掲げる基準のほか、法第四十七条の二に規定する公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が、同条に規定する譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要と認められる限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致すると認められるものであること。
4 第一項(第二号を除く。)の規定は、令第七条の二第二項の文部科学省令で定める基準について準用する。