チュニジアから始まった中東の反政府デモの波は、またたく間に
多くの国に伝わりました。その背景には、急速に発達したインター
ネットの情報発信力があると言われています。ツイッターやフェイ
スブックといった新たなネットワークの登場によって、マスメディ
アに頼ることなく市民が自ら情報を発信する能力が大きく向上しま
した。
身近に起きた出来事をリアルタイムに情報発信し、その情報を多
くの人が瞬時に共有することができるのですから、最初は小さな波
紋に過ぎなかったものが、大きなうねりに成長していく可能性があ
るのです。
ほんの数年の間に情報の草の根の伝播力はとても大きな力をもっ
たといえるでしょう。
日本から遠い中東での出来事だけに、私たちはつい遠い外国の
出来事のように感じてしまいますが、実はそうではありません。
企業の活動の中で起こった小さな出来事が思っても見なかったよ
うな大きな影響力を持ってしまうことにもなりかねないのです。こ
れまでは、マスメディアによる報道の有無が企業のレピュテーショ
ン(評判)を左右していましたが、これからは、企業の規模や事業
の内容にかかわらず、企業活動一つ一つが、常に市民の眼にさらさ
れているという意識を持たずに活動することは、企業にとって大き
なリスクになるのです。
(Masanori Imamura)