2012年9月28日金曜日

コンプライアンスは選ぶもの(のぞみ総研メルマガ2012.3.28より)

小売業界では下請法違反のニュースがよくあります。
名の知れた大手企業がしばしば報道されますが、今回はダイソーです。
私もよくお世話になっています。

ダイソー:下請け代金の減額で勧告 公取委(3/27)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120328k0000m020048000c.html

商品の安さをウリにする企業ほど、下請け事業者への対応が酷になってしまう
傾向があるのかもしれません。
「生き残るためには仕方が無い」というセリフはよく聞きますし、多くの
事業者にとっての本音でもありましょう。
何が「仕方がない」のか。「ルール違反」のことですね。

例え話が好きな私がコンプライアンスセミナーでよく取り上げるのは、
「企業コンプライアンスは一般道でレースをやるようなものです。」
という例えです。
スピードを出したい、でも出せない。
スピードを出せない理由が何であるかによって、その企業の体質を判別
できます。

(1)警察に捕まりたくないから。
(2)ルールに違反したくないから。
(3)事故を起こしたくないから。

(1)を選ぶ会社は一見スピードが速いように見えます。
しかし、きっと迷惑な運転もするでしょうし、いつか大事故を起こす
可能性が高いでしょう。
同乗者は恐怖と疲労に耐えられなくなり、いずれその車をおりてしまいます。
注意を促す仲間もいなくなり、結局は違反切符を切られたり、免停に
至る危険性もあります。

(2)を選ぶ会社では、完璧にルールを守ろうとしますから違反切符を切ら
れる可能性は低いのですが、競争では不利になります。
ルールに気をとられてしまう分、マナーや安全性への配慮が薄れてしま
うため、トラブルや事故が発生する可能性が気になります。

(3)を選ぶ企業では、安全運転のためにルールを守ります。
安全性が確保できる場面ではスピードを出すこともあります。
安全のために必要があれば、ルールに書いていない配慮や工夫をしま
すし、安全のためにルールを柔軟に解釈します。
運悪く違反切符を切られることがあるかもしれませんが、重大な処分
や事故を起こす可能性は低いでしょう。
安全運転は法律(道路交通法)の目的であり、結果的に(1)と(2)
をおおむねクリアしているでしょう。

さて、皆さんがドライブしているとき、「アイツ危険だな。」とか
「マナーが悪いな。」
と思うドライバーに遭遇しますよね。
その迷惑なドライバーの心境にしてみれば、
「オレは今、急いでいるんだ。仕方がないんだ。」
ということでしょう。

ルール違反を好んでする人はいません。
多くの場合、ルール違反の「事情」というものがありますが、
「現実」はその事情に取り合ってくれません。
さて、皆さんの会社では、(1)~(3)のどれを選択されるでしょうか。

(日野 孝次朗)