先日、コンプライアンスについて講演するため大阪に行って来ました。
私は大阪に行った経験が少ないのですが、大阪には他の地域とは格別
な文化や思想があるような気がしていて、これはある意味での偏見な
のかもしれません。
飲食の席で大阪方面の方々といろいろお話ができました。
その間、「大阪気質(かたぎ)とはいかなるものか。」という問いは
私の頭をずっと離れませんでした。
いま試しにネットで調べてみると、一つには「もったいない」と考える
傾向があるらしいと出てきました。
これを悪い言葉で表現すると、「ケチ」ということにもなりましょう。
損得勘定に敏感だということですが、これはある種の合理主義でも
あります。
逆に言えば、関東育ちの私などは第三者への気兼ねが多いためか、
その場の雰囲気に流されていつの間にか余計なものを買ってしまう
傾向があるように思います。
第三者への気兼ねとは、一種の見栄のようなものかもしれません。
大阪気質とは、「自分が納得しなければ決断しない。」ということ
かもしれず、ある種の個人主義が比較的強く徹底しているようでも
あります。
言い換えれば、納得すれば決断するということですから、大阪気質の
人を説得するときは、イメージ戦略よりも合理的な説明が効果的かも
しれません。
「武士は食わねど高楊枝」という言葉があります。
貧しくて空腹なのに満腹を装って楊枝を使っている、というたとえです。
要するに、武士は見栄っ張りだということですね。
商人の町だった大阪では、「見栄」よりも「合理主義」が重視されて
いたのでしょう。
無駄なことはしない。もったいない。
なるほど、これも大事なことだと思うのです。
(日野 孝次朗)