2012年5月2日水曜日

ドナルド・キーン氏の帰化 (のぞみ総研メルマガ2011.9.7より)

アメリカの日本文学研究の大家として日本でも有名なドナルド・キーン氏は、
コロンビア大学での最終講義の際に日本に永住し帰化することを明らかに
されていましたが、9月1日に日本に永住するために来日され、
大きく報道されています。
ごゆっくり過ごされるのかと思っていましたが、仙台市での講演もあり、
被災地を訪問する希望もあるとのことで、日本でも忙しい日々を送ることに
なるのかもしれません。

通常は日本国籍の取得のために帰化申請を行うには、5年以上日本に
住所を有することや、帰化によって元の国籍を失うといった色々な要件が
ありますから、手続きとしてはかなり煩雑ですし時間もかかります。
しかし、国籍法には9条で、日本に特別の功労のある外国人については、
国会の承認でその帰化を許可することができるという条文があります。
この9条による帰化の場合には、帰化にかかる要件は必要とされないので
日本に住所を有していなくても、元の国籍を失わなくても帰化することが
できるのです。
しかし、1950年の国籍法施行以来一度も実例がありません。

キーン氏は日本文学研究の第一人者で、世界に日本文学を広めた功労者です。
2008年には文化勲章も受章されています。
国会の承認が必要ですが、ここはひとつ国籍法9条に基づく帰化ということで、
日本の「粋」というものを示すのもいいのではないかと思います。

日本に来てうれしい=
近く国籍取得手続き、東北訪問も-ドナルド・キーン氏(9/1)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201109/2011090100667

(Masanori Imamura)