第4章には、「加担」について触れられた部分があります。ISO26000で言う加担とは、社会や経済、環境に対してマイナスの影響を及ぼすことになることに対して、直接的、または間接的に関係してしまいそのマイナスの影響を助長したり支援したりすることになってしまうことをいいます。
組織自らが人権侵害や環境悪化を招く行為を行っていなかったとしても、関連する別の組織や調達先でそういった行為があれば、そのことを知っていたかいないかに関わらずそれは「加担」していることとなり、全体としてはマイナスの影響を与えることとなります。
子ども達が使うサッカーボールを学齢期の子ども達を含めた低賃金労働者が作っているといった、いわゆるスウェットショップが問題となった頃から欧米では大きな注目を集め不買運動なども発生し、ナイキやモルテンといった多国籍企業は下請け工場などの労働改善を行ってきました。
また、アメリカでは金融規制改革法の中で、児童労働によって採掘されていたり、鉱物の売却利益が武装勢力の資金源となっていたりするなどの恐れがある鉱物資源いわゆる「紛争鉱物」が取引されることによって、結果的に紛争地域の武装集団による虐殺や略奪、性的暴力に結果的に加担することになってしまうということから、そういった鉱物の情報を開示することが義務付けられました。
これまでは、日本では児童労働や搾取といった問題にあまり関心がなかったのですが、今後は自らのサプライチェーン全体をしっかり管理し、知らず知らずのうちに「加担」してしまうことのないように注意する必要があります。