僕は結婚し、相模湖の町営住宅に5年住んだ後、津久井湖のある津久井町に戸建ての家を買った。
目の前に津久井湖があるのに、釣りに行かない手はない。
そして、再び釣りへ。
復活したのは野鯉釣り。
スピニングリールや竿を何組も買い揃え、いざ津久井湖へ。
仕掛けは吸い込みを使う鯉釣りだから、竿先に鈴を取り付け遠くへ投げ込み竿立てに置き、後は鈴が鳴るのをひたすら待つ。(待ちの釣りだな)
待つ間読書も出来るし物思いに耽ることも出来る、何とも長閑な釣りだが、竿先の鈴がチロチロ鳴り出すと竿前に行って、竿尻をそっと握り掛かる時を待つ。
これがまた何とも言えない楽しい時間、鈴の音を聞きながら、今彼奴はこの辺まで喰っているだろう、もう一口食いつけと心で彼奴に呼びかける、瞬間竿先が半月に反る、一気に竿を引き上げリールを巻き込む、引きの強さや泳ぎ方で大体何が来たのか判る。
鯉の場合は必ず沖へ走る、鯉は利口な魚だから釣られない為、湖底の木の根に巻き付こうとする、巻き付かれたら上げることはほぼ無理なので、兎に角一気にリールを巻くしかない、それでも2尺を超える大物はこっちがやられてしまう。完敗。
野鯉が掛かるのは希なことで、殆どは40㌢くらいのニゴイばかり、野鯉より先にニゴイが餌に寄りつくのでどうしてもニゴイが釣れてしまう。
昔はニゴイなんてそんなに居なかったはずなのに、どうしてこうもニゴイが多くなってしまったのだろう。
何年も鯉釣りに通ったけれど、とうとう2尺超えの野鯉を釣り上げることは出来なかった。
つづく