高校生になってからは、部活や高校の仲間達との遊びが忙しく釣りからは遠ざかってしまった。
働くようになってから1年に2,3度釣りに出掛けたが、専ら夏の夜釣りだった。
安月給だけれど給料を貰っていたので、釣り道具もそこそこの物は持っていた。
夜釣りは明かりが必要だが、今みたいに手軽な照明器具はないから、会社に転がっていたバッテリーやフォグランプを貰って、それを照明にした。
浮子は電気浮子だから投げ込んでしまえば、後は明かりなしでも充分釣りは出来る。深い入り江に弟と行った時、あまりにも掛からないので暇を持て余しフォグランプで対岸を照らしていたところ、「眩しいじゃねえかこの野郎」と怒鳴られて驚いたな、向こう岸にまさか人が居るなんて思いもしなかった。
明かりもなく真っ暗の中、居眠りしていたところ弟が「兄貴の浮子が見えねえぞ」と言うので、慌てて竿を上げたところ上がらない、何だ根掛かりかと思ったら微妙に動くので湖底に沈んでいる土左衛門でも引っかけたかなと思いつつ上げ続けたところ丸まったものが上がって来た。
土左衛門でなくホッとしたが、何だか識別出来ないその丸まった物も気持ち悪かったけれど、取り敢えず岸に上げたところ、ニョロニョロと動き出す、よくよく見たらウナギだった。
この戦利品は家に持ち帰り、親父に蒲焼きにしてもらった。
その後警察官になったので釣りどころではなかった。
【夜釣り場所】
僕達はこの入江の手前で夜釣りを 楽しんだ。
反対側に居た人はどこからあの場に 降りたのだろう。
つづく