2011年6月22日水曜日

昔、法律違反は悪いことだったけれど

先日、スポーツ紙の一面に<石川僚くんが無免許運転>という見出しを
見て驚きました。↓

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110610-00000000-alba-golf

あの好青年が「まさか」と思いましたが、よく読んでみると、アメリカで
取得した免許が日本でも有効だと思いこんでいたとのことで、なるほど
それならありえるなと思いつつ、私自身にとって他人事ではないニュース
だと思いました。

無免許運転は比較的重い犯罪行為にあたりますが、僚君の失敗を
「カワイソウ」と思うのは私だけではないでしょうし、少なくとも僚君を
悪人だと思う人はいないでしょう。
私が同じ立場だったら、高い確率で同じ勘違いをしていかもしれません。

それにしても、現代社会は普通の人でもうっかり法律違反をしてしまう
社会です。
100年前なら法律違反をやろうと思っても、なかなか難しかったと思います。
法律も社会も今より単純だった時代には、基本的に「悪いこと」を罰する
だけで事足りていましたから、法律違反をする人というのは、不幸な事情
で切羽詰まった人か、よほどの変人でなければできない、という雰囲気
だったろうと思います。

ところが現代社会では。
赤信号をわたって道交法違反。
刃渡り6㎝の刃物を持っていて銃刀法違反。
ハイキングで保安林の草を引っこ抜いて森林法違反。
空き缶を路上にポイ捨てして条例違反。
ゴミをあさるノラ猫をけっ飛ばして動物愛護法違反。
YOUTUBEで音楽をダウンロードして著作権法違反。
警察官だって、うっかりしていると知らぬ間に法律に違反してしまうことは
珍しくないと思っています。

これがビジネスともなれば法的リスクは何倍にもなるので、
「これをしたら法律違反ですか?」
というご質問をよく受けている(仕事ですから)のですが、
「違反します。」という回答ならともかく、
「絶対に違反しませんよ。」
とは、なかなか言えない時代になっています。

そんな時代でも人は生きて行かねばなりません。
とりあえずは、「自分は気がついていないかも。」
という気持ちを持っていただくことが重要です。
多くのリスクは「大丈夫」と思う気持ちから始まるのです。

石川僚くんの失敗をネタにして、ここまで話を引っ張らなくてもよいだろうに
と思われるかも知れませんが、法的リスクの面でとても重要なテーマを示唆
していると思ったので触れてみました。

(Kojiro Hino)