2012年11月23日金曜日

コンプガチャとコンプライアンス(のぞみ総研メルマガ2012.5.23より)

 携帯電話などを利用したソーシャルゲームのコンプガチャの規制について、
消費者庁は景品表示法に照らして違法であるとの認識を示しました。
実際には、グリーやDeNAといった提供会社はすでにコンプガチャの廃止を
打ち出していますので、全体として大きな混乱は生じない見込みとなっています。

 しかし、今回の動きを見てみると当初はマスコミの報道にはじまって、正式な
判断が出るまでは、実は単なる行政側の示した見解なのであって、必ずしも違法
だった訳ではありません。
にもかかわらずあたかも行政による規制が行われたかのように一斉に事業の廃止
に動いたというのは、それぞれの企業が「コンプライアンスを重視」したからで
あるのは間違いありません。

 行政による「法的根拠のない事前規制」がここまで効果を生じさせてしまうと、
企業側のコンプライアンス意識を利用した行政による事前規制という手法が定着
してしまうのではないかという危惧を感じています。

 コンプライアンスが事業を萎縮させてしまうのでは、本末転倒というしかあり
ません。
企業側としても、単に行政からの圧力を受け入れてしまうのではなく、しっかり
とした法的判断の下に、コンプライアンスという言葉だけに惑わされることがな
いようにしなければならないのです。


(今村 正典)