早戸川林道をひたすら走り、これ以上は車両通行禁止場所まで来た。
その昔は、まだまだ先まで行けたのだけれど、ある時の台風で先の林道の崖が崩れ、人も車両も通行不可能になってしまったけれど、暫くして何とか人だけは通行出来るように整備したが、それだけで今も車両は通行出来ない。
いったい行政は何をやっているんだ。
山は新緑が目映く、大きくなっている。
下界から上って来ると一段と若葉の色が新鮮に見えるし、ここに一切の騒音は存在しない。
滝壺に落ち込む瀑音と、流れ行く水音。只それだけの世界。
鶯の声さえ拾うことは出来ない。
カーラジオから流れるNHKの「ラジオビタミン」で本日のゲスト「関口知宏」が、鉄道の旅のことやら両親のことを話している。
毎日聞いている放送だけれど、これのみに耳を傾けるのは久し振りだ。
トム・ソーヤも還暦を迎え、この頃何だか今イチ元気が出ない、それが悔しくて五年振りにここへ来てみた。
ここの渓流は、あの時のままだろうか?、三年前のとてつもない集中豪雨を凌げたのだろうか。
それを見るのが楽しみだ。
もし何でもなかったら、トムもあの時の元気を取り戻せるような気がする。
三七年間勤めた警察官の職は、三年前に退き、今は若い仲間に助けられて行政書士。
正義を貫くために悪い奴らと対峙することはなく、身軽になったはずなのに、この頃何だか心の中に変な「ザラツキ」や「モヤモヤ」があって気持ちが踊らないのは何故だろう。
今日この渓流を遡上すれば、きっとスッキリするはずだ。
さー、あの時のように行って見よう。
そして、岩魚の一匹でも釣り上げられたら幸運!。
テンカラ師のつぶやき(2) へつづく。