2011年8月31日水曜日

第三章 社会的責任の理解(その3)

3.3 社会的責任の特徴
    3.3.1 一般

 社会的責任はそもそも組織が自らの意思決定の中で、社会や環境に対して自らの意思決定が及ぼす影響について説明責任を負っているということを意味します。したがって、組織は自らの意思決定や行動が自身の利益を図るというだけではなく、社会全体に対して与える影響がどのようになるかについて常に意識していることが必要となるのです。

 組織を取り巻いているステークホルダーは、組織の意思決定や活動によって何らかの影響を受けることになります。ステークとはそもそも賭け事の掛け金のことですが、この「掛け金」を組織に対する利害と考えて利害関係のある人や組織のことをステークホルダーと呼ぶようになったといわれています。ステークホルダーは利害関係という形で組織との関係を保持しています。これは、金銭的な利害とは限りませんので、組織には株主や従業員だけではなく、地域社会や取引関係者という形で、組織は多くのステークホルダーに囲まれているということができます。

 ステークホルダーとの利害関係に配慮することは重要ですが、他のステークホルダーとのコンフリクトが発生したり、配慮したりすることで社会や環境に大きな影響を与えることもありえます。したがって、組織は利害そのものの合法性や環境への影響、社会規範との整合性を見極めつつ組織として独立した意思決定や行動が求められています。