最後の希望を持って、一段目の滝に戻ってみたが、そこも奥に抉り込んでいた壺が消失しまっていて、単なる通りすがりの流れと姿を変えていた。
川を遡上して見たが、 テンカラ釣り師の五感が魚影を全く感じない。
僕が二十数年愛した神ノ川は、岩魚の住めない清流と化してしまったのだろうか。
何だか判らないけれど、涙が込み上げた。
もう二度と、ここ神ノ川に来ることはないだろう。
僕の一つの渓流伝説が終焉した。
何時の日か神ノ川は甦ってくれるだろう。
ここはそんなにヤワじゃないから。
今年は大変だな。
地元でホームとする渓流を探さなければならない。
その条件は岩魚は放流されていないことと、釣り師があまり入渓していないことと、テンカラが振り込める立地条件が揃わなければならないので難しい。
探し当てたら紹介致します。それでは又の日を。
帰りがけに、こんな夕日を見た。
雲一面がオレンジ色に染められた夕日なんて、この辺では見たことがない。
僕の心を知った神様からの贈り物かな。
そう思ったら新たな闘志が沸き上がって来た。
きっと、明日は良い日だ。
シリーズ「渓流は甦るか!さらば神ノ川」
おわり