今朝のニュースで大島渚監督がお亡くなりとのこと。
私の記憶の中の著名人リストがだんだん寂しくなってきました。
ところで昨年、森光子さんが亡くなられた後、従三位に叙位されたというニュースが
ありました。
従三位というのは、古代の律令制において貴族や官吏の地位の序列を示すものでした。
政府の役職につくためにはそれに相当する官位が必要で、従三位は中納言や大宰師、
近衛大将といった極めて高い地位に相当します。
従三位の上が「正三位」、その上は「従ニ位」「正ニ位」「従一位」と続き、最高位
の「正一位」は関白太政大臣クラスです。
従三位は、平清盛より前の時代で武士の最高位だった正四位よりも、ひとつ上のランク
にあたります。
源頼政が平清盛のおかげで、源氏として始めて従三位をもらったあと、それを祝して
「源三位(げんさんみ)」と呼ばれました。
室町時代では足利将軍家の一族や鎌倉公方が従三位でした。
戦国時代では、足利義昭、織田信忠、毛利輝元、小早川秀秋の最後の官位が従三位で
した。
江戸時代では御三家、御三卿が任じられる官位でした。
明治になってからは、大久保利通、児玉源太郎など。
以上は生前に叙位された例でしたが、死後に官位を叙位されることを追贈と言います。
故人への叙位は長い歴史が経過した後なので評価が「甘め」にはなりますが、明治後に
従三位を追贈をされたのは、武田信玄、島津貴久、柴田勝家、大友宗麟など、錚々たる
人たちです。
戦後は棟方志功、黒澤明、森繁久彌などのほか、作家や学者、官僚、芸能人等幅広い
分野の人たちが叙位されています。
要するに森光子さんの従三位という評価は、武田信玄に並ぶほどのものだと言うこと
です。
叙位は古来より天皇だけが行うことができる重要な権限です。
なお、現在の叙位は天皇の国事行為ではありますが、内閣の助言と承認のもとに行われ
ています。
(日野 孝次朗)