2012年4月18日水曜日

適正な賃料について考える(後編)

前回のつづきです。

では実際に、前回で具体例として挙げさせて頂いた店舗(診療所)の月額実質賃料を査定してみたいと思います。

まず、不動産鑑定評価上の「月額支払賃料」は、382,950円+93,150円(共益費)=476,100円です。

次に、保証金の運用益を加算いたします。
運用益を求める際の利回り(運用利回り)ですが、一般的な投資商品の利回りと比較したうえで、不動産固有のリスク(簡単に転売できない、管理等の煩雑さ等)を積み上げて算出するのが一般的です。

ここでは10年国債の応募者利回り(平成23年10月時点で1.025%)に上記の固有リスクを積み上げた結果、運用利回りを2.0%と査定いたしました。
よって、保証金の運用益は3,000,000円×2.0%=60,000円となります。


 以上より、月額実質賃料は476,100円+60,000円=536,100円と求められます。

 
 権利金の授受がある際には、上記の式に、権利金の運用益及び償却額も加算することになります(運用益及び償却額の計算は少し難しいので、ここでは割愛させて頂きます)。

 
 このような計算式を知っておくことで、本当の意味での「賃料」が把握できます。
 ぜひ御社が支払っている賃料についても、一度ご計算されてみてください。
 


不動産鑑定士 藤田勝寛