2011年9月7日水曜日

第三章 社会的責任の理解(その4)

3.3 社会的責任の特徴

3.3.2 社会の期待

 これまでのコンプライアンスは法令遵守と訳されて、法律や決められた社会的規範を遵守することに主眼が置かれてきました。しかし、色々な組織の活動が大きく広がり、グローバル化が進むと共に、組織にはこれまでのコンプライアンスを超えて社会的要請に応えることまでが求められるようになってきました。

 社会的責任は、コンプライアンスを超えて社会の要請に応えることを期待されています。社会的な期待は、それぞれの社会における倫理観やその時々の社会的課題、国際規範、そして文化によって異なってきますから、組織の活動が行われている地域での社会的期待を認識しておくことが必要です。



3.3.3 社会的責任におけるステークホルダーの役割

 組織をとりまくステークホルダーは、組織の構成員や顧客、地域の住民など多岐にわたるのですが、組織がその範囲を定めなければとても広く漠然としたものになってしまいます。そこで、組織は、組織の決定や行動に対して利害関係のあるステークホルダーが誰なのかを確認し、それを特定することが必要となり、これが社会的責任に取り組む最初の一歩となります。

 ステークホルダーエンゲージメントには、ステークホルダーとの対話がなければなりませんが、そのためにも、ステークホルダーの特定をすることが大切になります。ただし、ここで特定されたステークホルダーは、必ずしも組織の属する社会全体と組織との間の利害関係の全てを代表しているとは限らないことを理解しておかなければなりません。