著作権者と連絡が取れないために利用許諾が得られない場合には裁定制度を利用できる場合がありますが、その裁定申請前に行うべき措置について定められました。(記載は後半で)
裁定申請の前に著作権情報センターで広告することが義務付けられてしまったのは残念に思います。
WEB広告掲載の費用が強制的に負担させられることになるからです。
もちろんセンターさんが好き好んでこの役割を引き受けているわけではありませんし、今の文化庁の判断としてやむをえない点も理解できます。
なお広告を依頼した場合の料金は¥31500円(税込み)、もしリンクを貼る(詳細は自前で準備する)場合には¥23100(税込み)となっています。
その一方で、著作権者の住所の追跡調査については不要という運用になっているようです。
個人情報保護の必要性は理解できますが、必要に応じて個人情報は公開されるべきで、個人情報保護の柔軟性が失われていることの弊害が重視されつつあります。
ましてや著作権者の利益に直接つながる問題なので、個人情報保護の名目で、本来できるはずの調査を省略させてしまうのは不適切な運用ではないかと思います。
住民基本台帳法でも戸籍法でも、許諾のために著作権者と連絡を取る目的で関係書類を請求することは正当な理由として見取られており、総務省でもそのような回答を得たことがあります。
そうなると、個人情報保護のためというよりは、利用者側の手間を省くだけの意味しかないようにも思えます。
但し、これについては政令でも定めていない「運用」の部分の問題ですので、今後の取り扱いに注目したいと思います。
(著作権者と連絡することができない場合)
施行令第七条の七
法第六十七条第一項の政令で定める場合は、著作権者の氏名又は名称及び住所又は居所その他著作権者と連絡するために必要な情報(以下この条において「権利者情報」という。)を取得するために次に掲げるすべての措置をとり、かつ、当該措置により取得した権利者情報その他その保有するすべての権利者情報に基づき著作権者と連絡するための措置をとつたにもかかわらず、著作権者と連絡することができなかつた場合とする。
一 広く権利者情報を掲載していると認められるものとして文化庁長官が定める刊行物その他の資料を閲覧すること。※1
二 著作権等管理事業者(著作権等管理事業法(平成十二年法律第百三十一号)第二条第三項に規定する著作権等管理事業者をいう。)その他の広く権利者情報を保有していると認められる者として文化庁長官が定める者に対し照会すること。
三 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙への掲載その他これに準ずるものとして文化庁長官が定める方法により、公衆に対し広く権利者情報の提供を求めること。
◎平成二十一年文化庁告示第二十六号
第一条
著作権法施行令(昭和四十五年政令第三百三十五号。以下「令」という。)第七条の七第一項第一号(令第十二条の二において準用する場合を含む。)の文化庁長官が定める刊行物その他の資料は、次に掲げるもののすべてとする。
一 著作物、実演、レコード、放送又は有線放送の種類に応じて作成された名簿その他これに準ずるもの
二 広くウェブサイトの情報を検索する機能を有するウェブサイト
第二条
令第七条の七第一項第二号(令第十二条の二において準用する場合を含む。)の文化庁長官が定める者は、次に掲げるもののすべてとする。
一 著作権等管理事業者その他の著作権又は著作隣接権の管理を業として行う者であって、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第六十七条第一項(同法第百三条において準用する場合を含
む。)の裁定の申請に係る著作物、実演、レコード、放送又は有線放送と同じ種類のもの(以下「同種著作物等」という。)を取り扱うもの
二 同種著作物等を業として公衆に提供し、又は提示する者
三 同種著作物等について識見を有する者を主たる構成員とする法人その他の団体
第三条
令第七条の七第一項第三号(令第十二条の二において準用する場合を含む。)の文化庁長官が定める方法は、社団法人著作権情報センターのウェブサイトに三十日以上の期間継続して掲載することとする。