2009年12月7日月曜日

教育委員会が市史を無断引用

http://mainichi.jp/seibu/shakai/news/20091217ddp041040033000c.html

唐津市教育委員会が伊万里市教育委員会の市史の一部を引用していたという話。

歴史好きの私としては、歴史に関する著述は創作性が高いと感じますが、客観的な資料や統計(何がどこでいくつ出土したとか、どの記録に何が書いてあるとかいった事実など)の部分は「事実」であっても著作物ではない、ということになる場合がありますから、「その内容の全てを一切使ってはならん。」ということではないので、そのあたりの区分けをどのように処理してゆくかと言う点は悩ましいところです。

つまり、どこに創作性があるのかということをいちいち考えながら判断しなければならないということなので、著作権法の基礎的な理解をしていない人が編集をするのはやはり危ないことだと思います。

私にしても、相談を受ければエラそうなフリをして(そうでないとお客さんが不安になりますからね)はいますが、正直なところ毎度自身を持って判断しているわけではありません。

むしろ自分の判断を頭の片隅で疑いつつ、心(感情)と頭(計算)を分離して(そのように努力して)対応しなければなりません。

リスク判断の基本をまず「疑うこと」です。
自分自身さえ疑い、万一にそなえて覚悟するクセを持つことが重要です。
特に著作権は微妙なリスク判断を必要することが多い分野だと思います。

今回の件では、伊万里市の市史の関係者に挨拶をして、「こんな内容でつくりましたけれど見てください。」と事前に根回しをしておければこのようなトラブルにはならなかったのではないかと思うのですが、いかがなものでしょう。

法律トラブルの多くは、そういった気遣いで防げるものではないかと感じることがよくあります。