2013年8月21日水曜日

西欧でも起きる領土問題

ジブラルタル海峡はヨーロッパ側にジブラルタル、南側にセウタという要港があっ
て、それぞれに所在する岩山ははるか昔から「ヘラクレスの柱」と言われてきました。

地中海と大西洋の関門を形成するこの柱は、地中海の覇権を左右する重要な拠点と
して争奪の対象でありました。

スペイン継承戦争は、フランスの王位継承予定者をスペイン王にしようするフランス
の画策を、英国、オランダ、オーストリアなどが連合して阻止しようとして1701年に
始まりました。
イギリス軍は当時スペイン領だったジブラルタルを占領し、スペインとフランスは何
度も武力による奪還を試みましたが失敗。

1704年のユトレヒト条約で英国による領有が承認されて以来、現在に至るまで英国の
領土となっています。
ジブラルタ生命のトレードマークは、難攻不落の要塞であった「ジブラルタルロック」
に由来するものです。

スペイン政府はジブラルタルがスペイン固有の領土であると主張して、英国政府に返還
を求めていますが、英国女王がジブラルタルを訪問した際にスペインで反英暴動が起き
るなど、しばしば緊張する局面がありました。

今年の7月になって、英国側がジブラルタル付近に設置した漁礁をめぐってスペインの
反発を招き、緊張が高まっていたさなか、英国海軍がヘリコプター搭載空母をジブラル
タルに派遣したという報道もあります。

小さな半島にこだわる英国政府の対応を「植民地主義」と非難する向きもありますが、
スペインもアフリカ大陸北岸ににセウタとメリリャという飛び地を領有しており、モロ
ッコ政府から返還要求を受けているので、「どっちもどっちだ」という見方もあります。 

最近領土問題でピリピリしている日本ですが、こういったことは大なり小なり、どこの
地域にもあるということでしょう。

ひの