2013年4月24日水曜日

短絡的な事故の話

「短絡的」という言葉があります。
一般的には、よく考えずに原因と結果を結び付けてしまうような場合を意味します。

では「短絡」とは何かと言うと、いわゆる電気回路の「ショート」のことで、本来つながってはいけない回路に何らかの原因で電流が流れてしまう現象のことだとか。

さて、62年前の今日(昭和26年4月24日13時45分)国鉄京浜東北線桜木町駅で、この「短絡」が発生しました。
駅の構内で電線の工事をしていたところ、工員がスパナを落としてしまい、それが原因で上り線の架線が垂れ下がりました。

そこに下り線の列車が進入した際、その列車のパンタグラグが架線にひっかかって電流の短絡が発生。
火花が車両の屋根の塗料に引火して火災となりました。

電気系統が故障したので自動扉を開けることができず、窓もわずかな隙間しか作れないよう固定されていました。
非常用のドアコックは設置されていましたが、わかりにくい場所にあり、乗客はとっさに発見できませんでした。

車両と車両の間の通路には扉がありましたが、内開きなので通路に殺到する乗客たちは開くことができません。
実はこの扉、乗客の検札逃れを防ぐため、普段は閉鎖されていたのでした。

多くの乗客が脱出できず、救助も困難な状況に陥りました。
乗客106人が焼死し、92人が負傷するという史上まれに見る悲惨な事故となりました。
そして多くの教訓を残しました。

電車に乗ったらドアコックがどこにあるか探してみるといいですよ。
探してもすぐには見つからないかもしれません。


(日野 孝次朗)