2007年10月3日水曜日

著作権の寿命

8月頃のニュースで、タイの警察が規則違反をする警察官に対して、罰としてハローキティのイラスト入り腕章をつけるよう義務付けて問題になっていました。問題というのはもっぱら著作権のことのようで、さすがに著作権侵害のおそれがあることに気がついてタイ警察は対応を撤回したそうです。

このニュースを見て思ったのは、ハローキティの著作権はいったいいつまでなのかということです。
ウィキペディアを見たところ、1976年頃にはグッズが販売されていたそうです。女性のデザイナーの名前が出ていましたが、この方が著作権法の著作者にあたるのか、それともサンリオが著作者なのかというと、デザイナー個人のクレジットが見当たらないという意味で法人著作ではないかと推察します。
となると、公表時から起算して50年ですから、2027年にはハローキティの著作権が消滅していると考えて差し支えないものと思います。
すると、20年後には少なくとも日本国内ではハローキティを勝手に利用しても著作権侵害にはならないことになります。
ミッキーマウスに比べるとずいぶん寿命が短いようですが、これを理由に日本でも著作権保護期間を延長すべきかと言えば、そうとも限りません。

著作権法では著作権保護期間の計算を原則として死後起算としています。
もしキャラクターの作者名が公表の際に表記されて個人著作として扱われていれば、作者が死亡してから50年間という原則にのっとって計算しますから、ハローキティの寿命はあと何十年か延びる可能性が高いと考えてよいでしょう。(但しデザイナーさんの寿命によります)
しかしキャラクター企業の多くは(そうでない会社をまだ知りません)自社を著作者にして権利の全てを原始的に保持するのが当然と考えているようです。
権利の寿命を長くするチャンスがあるにもかかわらず、そのチャンスをあえて捨てた結果、著作権の寿命が50年になっているのです。

現行法での保護期間制度が充分活用されず、認識もされていないのに、保護期間延長賛成の声が世論の大勢を占めているとは思えません。
延長の声はクリエイターの中でもほんの一部の声に過ぎません。
延長を持ち出す前に、保護期間制度を充分活用することを考えるべきだと思うのです。