2013年4月17日水曜日

ルビコン川を渡りますか?

ロイターのニュースページを見ていたら、「日銀はルビコン川を渡ったのか」という
見出しがありました。

4月4日、日銀の黒田総裁が大胆な、異次元的とも言われる金融緩和策を発表したこと
は世界の金融市場に大きな影響を与えました。

その日銀の決断について形容される「ルビコン川」は、イタリア北部を西から東へア
ドリア海にそそぐ川の名前です。

紀元前49年1月10日、ローマの一軍人にすぎないユリウス・カエサルが、<軍を解散
せずにイタリア本土に入ってはいけない>というローマの法を破って、配下の軍団と
ともにこの川を越えました。

それはローマ世界全ての権威と権力を敵に回すことを、果てしない内戦の開幕を意味
していました。
そのときカエサルが発したセリフの日本語訳が次のとおりだとか。

「ここを渡れば人間世界の悲惨、渡らなければわが破滅。進もう、神々の待つところへ!
 我々を侮辱した敵の待つところへ! 賽は投げられた!」

日銀の金融政策がルビコン川を渡ったということなら、進むも悲惨、とどまるのも地獄、
そして今後予想の付かない展開が待っていると言う意味が「異次元緩和」という言葉に
含まれています。
このように欧米人はローマの歴史にまつわる言葉をよく使います。

カエサルはやがて激しい戦乱を収束させ、独裁権を握って新しいローマ帝国の骨格を
作ります。
その後約200年にわたって「パクス・ロマーナ」と呼ばれる安定した発展の時代を迎え
ました。

安倍政権と日銀がカエサルになれるのかどうか。
いずれにせよ、途中で待ち構える地獄は避けられないということです。
もう渡っちゃったのですね。。。


(日野 孝次朗)