2012年5月19日土曜日

面白い恋人 商標事件 (のぞみ総研メルマガ 2011.11.7より)

北海道の著名なチョコレートのお土産「白い恋人」を販売している
石屋製菓が、吉本興業などに商標権侵害等を理由に訴訟を起こした
ニュースが話題になっています。吉本興業などはゴーフレットに
「面白い恋人」という商標を付して販売していたのです。
しかも「面白い恋人」の箱には、本家「白い恋人」の箱に表示され
ているようなリボンのデザイン等が施されています。

吉本側が冗談で出している商品であることは明らかなのですが、
個人的には、少しやり過ぎではないかと思います。
本家の石屋製菓は「全然面白くない」とコメントされていましたが、
石屋製菓の立場であればその通りでしょう。
面白いと感じる人もいらっしゃるでしょうが、仮に両方の商品が
近い売り場にあったなら、よく注意しないと間違いそうです。
スターバックス対エクセルシオールの商標に関する事件では、
実際に間違える人がいたわけですから。

商標検索してみると、石屋製菓は、「白い恋人」の名称のみならず、
箱のデザイン等についても商標権を取得しています。
一方、吉本側は「面白い恋人」を商標出願していましたが、
今年6月に特許庁で拒絶されています。
吉本側は突然の提訴で驚いているとコメントをしていましたが、
「面白い恋人」は拒絶されていたわけですから、はたして驚くような
ことだったのでしょうか。

もし、自社のヒット商品のパロディのような商品が販売され、それが
ヒットしているとすれば、皆さんはどうされますか? 特に、自社の
売上が減ったり、間違って購入した人からクレームが来たりすると
見過ごせない問題になりますよね。
品質が劣悪であれば、自社の信用問題にもなりかねません(「面白い
恋人」の品質が悪いと言ってるわけではありませんが)。
イメージの問題もあると思います。
シャネル社が「シャネル」の名前で営業している小さなスナックを
相手に法的措置をとったことは有名な話です。

この訴訟、今後の展開が気になるところです。

  
 弁理士 松下恵三